自宅売却を不動産会社1社に丸投げすると失敗する?「囲い込み」の手口とは

マイホーム購入の時はあんなに調べたのに、売却の時は不動産屋に丸投げ?

家を買う時にはあれこれ考えて、不動産会社もいくつも回る…という人も多いものです。

ただ、不動産売却となると途端に不動産会社に丸投げ…というケースも少なくありません。

「家を買ってその後長い間住む」買主としての立場と、「家を手放して現金化する」売主の立場の違いからくるものかもしれませんね。

確かに、家を買う時は、立地や間取り、設備、周辺環境などなど気になる点はいくつもあります。買ってから動かせない不動産は、かなり慎重になり不動産会社にたくさんの質問を投げかけます。

一方で、自宅売却と引き換えに不動産がお金に変わるだけと考えれば、「お金が入ればそれでいい。面倒なことはもう全部丸投げしよう」という気持ちになるのは分かります。

ただ、家を売る時にも、家を買った時と同じくらい気を付けないと損をしてしまうかもしれないのです。

「囲い込み」の手口。1社独占の売却依頼をさせ、最終的には大幅値下げ

とくに有名な「囲い込み」という手法は、売主に損したことを気が付かせずに不動産会社だけが儲かる方法です。

具体的な手口はこうです。

  1. 査定価格を相場よりも高値で提示し、売却依頼をもぎ取ります
  2. 売主と「(専属)専任媒介」という1社独占の売却契約を結びます
  3. 不動産会社専用の物件データベース「REINS」に登録せず、インターネットの不動産情報サイトにのみ物件情報を掲載します
  4. その他の営業活動には力を入れず、ただ時が過ぎるのを待ちます(物件を「干す」)
  5. 2カ月以上放置した後、「やはり値下げしましょう…」と販売価格の大幅値下げを提案
  6. 相場より安い価格で売却。自社の顧客(買主)に売却するため、不動産会社の仲介手数料(儲け)は2倍!

少し難しい言葉も出てきましたが、査定価格を高く見せることで売却依頼を取ったはいいものの、結局最後は価格を下げて売ることになります。

売主さんは、本来であれば初めに相場価格で売却できていたかもしれません。それを放置された結果、売れずに焦り、不動産会社の口車に載せられて安値で売却することが多いのです。

しかもその裏で、不動産会社は自社顧客(買主)に売却し、売主・買主の両方から仲介手数料が入る両手取引を行います。不動産屋だけが得しているのです。以下で詳しく見ていきましょう。

①ノーリスクで高い査定価格を提示。なんなく売却依頼を勝ち取る

通常、売主さんは一括査定サイトなどを利用して複数の不動産会社に査定を依頼します。

その中から「高い価格を提示した会社に依頼したい」というのは自然な流れだと思います。

ただ、知っておきたいのは査定価格(特に机上査定)は、どこの不動産会社でも同じようなものになることが多いことです。「不動産相場」というものがあることや、同じような査定ソフトを使っているためです。

微妙に幅が出るのは、土地の形や道路付けなど細かな補正項目の掛け目によって、相場より何%か上下します。しかもこの補正項目は、担当者の感覚で行われることが多いのが実態です。

そもそも査定と言っても、(中古車の査定価格などと異なり)不動産仲介業者が買い取るわけではありません。「3カ月間で売れる金額はこれくらい」というものに過ぎません。

だからこそ、あえて高い価格を提示することで、不動産業者はリスクなく売却依頼を勝ち取ろうとする業者がいるのです。

査定価格は家が売れる値段ではない!不動産屋はどう計算してる?

相場からかけ離れた価格には注意!「買主がいます」という常套句も

中には、「うちは不動産売却のノウハウがあり、相場よりも高く売れます」という会社もあるでしょう。

しかし、相場より大きくかけ離れて売れることはまずありません。同じような立地・築年数・㎡数の他の物件が相場価格で出ています。それなのに特別あなたの物件だけ高く売れることは不自然です。

中には「うちは買主がいます」という会社もありますが、それも嘘である可能性が極めて高いです。典型的な手口です。

そもそも、売却を依頼した不動産会社が買主を見つけるわけではありません(もちろん、結果的にそうなる場合もあります)。というのも、全国の不動産会社は物件共有データベース「REINS」で繋がっているからです。

売却依頼を受けた不動産屋さんがREINSに登録すれば、その物件情報は他の不動産屋さんにも共有されます。無数の不動産会社が一斉に買主を見つけるよう活動してくれます。

「自社で買主をみつける」ということを強調するのは、買主からの仲介手数料ももらうことにこだわるあまり、REINSに登録しない可能性があります。そうすると、買主をみつける可能性が一気に小さくなります。

不動産会社の役割は買主を探すことではない!?絶対知っておきたい売却の仕組み

②不動産屋「1社だけ」に限定する「(専属)専任媒介契約」を勧める

売却を依頼する不動産会社を決めたら、売主さんとの間で契約書を結びます。これを「媒介契約」と呼びます。

この媒介契約には大きく2種類あり、「(専属)専任媒介」と「一般媒介」があります。

専属専任媒介・専任媒介というのは、「あなたの会社1社に限定して売却活動を依頼します」というものです。一方で、一般媒介は「あなたの会社以外にも売却を依頼できる」というものです。

ここで、他の会社に売却依頼されたくない不動産会社は、強く「専任媒介」を勧めてきます。

2社以上に依頼されてしまえば、他の不動産屋さんで売却が決まると報酬がなくなるためです。

そして、2社以上に依頼されてしまうと「囲い込み」ができなくなるという理由があります。

一般媒介を結ばれてしまうと「囲い込み」ができなくなる理由とは?

1社だけに売却依頼をするということは、その1社が取引をすべてコントロールできるということです。

買主側の不動産屋である客付仲介業者はたくさんいますが、内覧依頼などすべての情報は売主側の不動産屋(元付仲介業者)のもとに集まります。

自社で顧客を見つけることにこだわる元付仲介業者は、他社(客付仲介業者)がお客さん(買主)を見つけてきても「その物件は先ほど申し込みが入りまして…」と勝手に断ることもできます。

そもそもREINSに登録しない、つまり他の不動産会社と物件情報を共有しないこともできます。これらは社会問題ともなっています(「囲い込み 大手不動産」で検索するとよくわかります)。

一方で、実際の現場でのやり取りは売主さんが正確に把握できるものではなく、いくらでも言い訳ができるというなんとも歯がゆい状況があります。

【解決策】2社に依頼することで「囲い込み」を防ぐ!対応もよくなる

これを防ぐには一般媒介契約を結び、2社に依頼することです。

1社が囲い込み(両手仲介)をしようとしても、もう1社がREINS登録し真っ当に対応するインセンティブが働くためです。その方が契約が決まる可能性が極めて高く、結局両者ともREINS登録をせざるを得ません。

さらに、2社が互いに競争するため、売主さんや客付仲介業者への対応もよくなることも期待できます。

もちろん、信頼できる不動産会社であれば1社のみに依頼することも構いません。ただ、大きな金額が動く取引です。初めて会う不動産会社の場合には、警戒しておくくらいでちょうどいいかもしれません。

中には、REINSに登録して登録証明書を発行した後、一瞬で削除する会社もあります。「REINSに載ってないじゃないか!」という売主さんからの指摘に「図面に誤りがあり修正中でした」と言い訳することもできます。

1社だけに依頼すると歪んだ取引をされ、知らないうちに損をして売却される可能性があるのです。

不動産会社を1社だけ選ぶと大損?!家を売るなら2社に依頼すべき理由

③④⑤物件情報サイトだけに掲載して放置、値下げを勧めてくる

囲い込みの目的は、自社で買主さんをみつけて、売主・買主双方から仲介手数料を取ることです。

ですのでREINSには掲載せず、個人のお客さん(買主)だけが検索するインターネットの物件情報サイトにだけ載せておきます。

それで反響があり契約が決まればラッキー、そうでなければただ時間が過ぎるのを待ちます。売主さんが焦り出すのを待つのです(「物件を干す」といいます)。

そして、媒介契約(3カ月)が切れる前に「やはり現在は不動産市場が冷え込んでまして…」などと最もな理由を付けて値下げを提案します。

「ここは一気に500万円下げましょう。しっかり買主さんを見つけます!」と大幅な値下げを合意させるのです。

⑥値下げした金額で売却しても仲介手数料が2倍のため儲けが大きい

当初の査定金額よりも、そして相場価格よりも安い値段にして売り出せば買主さんは容易に見つけられます。

不動産会社としては、売買価格が下がれば仲介手数料も下がります。ただし、売主さんからも買主さんからも仲介手数料を取れるので、儲けはかなり大きくなります。

例えば、3,000万円の片手取引なら仲介手数料が約90万円(=3,000万円×3%)のところ、2,500万円に値下げしても両手仲介なら150万円(=2,500万円×3%×2)になります。

この囲い込みのたちが悪いところは、「本当はもっと高値で売れていた」ということを確認する術がないことです。

真っ当な査定価格で初めから売り出しておけば、早々に高値で売却できたかもしれません。REINSに登録してくれれば、多くの買主候補者を見つけるチャンスがあったかもしれません。

それを知らされない売主さんは「難しい売却案件を、いいタイミングで値下げ提案をしてくれたから売れた。さすが〇〇不動産会社!」などと感謝までしているかもしれません。

実態としては、不動産会社はネットに載せて放置するという手法で何ら汗をかいてないのにです。大きな資産売却、しっかりと不動産会社を見極めましょう。

【個別相談】悩んでませんか?家を売るか分からないけど「相談“だけ”聞いて」

あなたのご都合にあわせて、PlanBにご相談ください

「売却が初めてで、なにをすればいいのかサッパリ分からない」といったご相談も大歓迎です。

小さなお子さまがいらっしゃる場合などは、ご自宅や周辺の喫茶店などでの出張個別相談も可能(原則、都内)!過去のご相談内容は例えば…





自宅の売り方を一から丁寧に教えて欲しい
どうすれば高く売れる?不動産屋の選び方は?
住み替え(買い替え)ってどうやるの?
今、お願いしている不動産屋さんに不信感が…
専門的なことを気軽に相談できる相手がいない
査定書がわからない。アドバイスが欲しい etc…

「まだ売るか決まってないけど…」にも私たちがお応えします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA