個人間売買の致命的なデメリット5つ。買主が限定され取引リスクも大きい

仲介手数料を払いたくないから個人間売買しよう!…に潜むリスクとは

自宅を売ろうと思う時、不動産屋さん(仲介業者)に売却を依頼することが当たり前になっています。

でも、仲介業者に売却依頼すると、売買契約が成立すれば「仲介手数料」(多くの場合、売買金額の約3%)がかかります。3,000万円で売れれば約100万円かかる計算です。

それなら、「不動産屋さんに頼まずに、自分で売却できないだろうか」と思うのも自然なことかもしれません。もちろん、不動産の個人間売買は法律上も問題ありません。

仲介業者を入れない個人間売買の最大(にして唯一?)のメリットは「仲介手数料がかからないこと」です。

それはそうです、その代わり、仲介業者が本来行うべきことを売主さんご自身で行うのです。最近では、物件調査や契約書作成代行などの個人間売買をサポートするサービスも増えており、個人間売買はやりやすくはなっています。

ただ、現状は広く普及しているとは言い難く、やはり親族などお互い知り合っている仲で行われている程度です。なぜでしょうか。どのようなデメリットがあるのでしょうか。

【欠点1】REINSも大手物件情報サイトも使えず、買主を見つけるのが困難

結論を先に言えば、個人間売買はメリットに対して、後述する通りデメリット(リスク)が大き過ぎるのです。現状ではあまりオススメできません。

最も苦労するのが買主を探すことでしょう。

まず、不動産仲介業者を入れないということは、物件情報データベース「REINS(レインズ)」にも登録されなくなります。大手物件情報サイトにも広告してくれません。

 

 

仲介業者に売却依頼すれば、(REINSを介して)全国の不動産業者が自社顧客に対して、売主さんの物件を紹介してくれるチャンスがありますが、それがまったくないのです。

個人間売買をサポートするウェブサイトなどもありますので、買主をネットで探すことはできます。しかし、SUUMOやat-home、HOME’S、Yahoo!不動産など、不動産業者が利用する大手物件情報サイトとは比べ物になりません。

いずれにしても、個人だけで探すとなると圧倒的に買主候補者が限定されます。本当ならもっと高く売れていたのに…となる可能性が高く、仲介手数料以上に損をするリスクがあります。

不動産会社の役割は買主を探すことではない!?絶対知っておきたい売却の仕組み

【欠点2】住宅ローンが使えない可能性が高い。現金一括購入者に絞られる

やっと買主が見つかったとしてもハードルが待ち構えています。それは、住宅ローンです。

銀行や信金など多くの金融機関では、不動産仲介会社が作成した契約書や重要事項説明書がないと住宅ローン融資の審査をしないというところが多いのです。

銀行は、何千万円という多額のお金を35年という長期間にわたって貸します。

なぜ貸し付けるかというと、個人の年収など属性に問題がないかといった信用力をチェックし、さらに万が一に備えて物件の担保力があるかを審査するからです。

例えば、接道条件を満たさず再建築不可の物件であることが見落とされていたら、物件の担保評価は著しく低下します。

そういったことを確認するために、宅地建物取引士という国家資格を持った専門家が役所などを回って一つ一つチェックするのが重要事項説明書なのです。

住宅ローンを使わず購入できる一握りの買主にしか売れなくなるリスク

個人間売買では、有資格者ではないある意味素人の人間が取引をします。

契約書や重説などを作ったとしても、重大事項を見落としているかもしれないという懸念があり、そもそも金融機関が住宅ローンを提供しないことが多いのです。

取引のプロである不動産会社が仲介に入らないということは、銀行に対して、それだけで取引自体の信用力を失うことになってしまいます。

結果として、ただでさえ買主の数が限られる中、「現金一括購入」できる買主に限られることになり、ほんの一握りの人にしか売却のチャンスがなくなってしまうのです。

【欠点3】不動産取引のプロが不在の契約は買主が不安に。解約リスクも

さらに買主を遠ざける理由があります。確かに(仲介業者を間に入れない)個人間売買は、買主にとっても仲介手数料がなくなるメリットがあります。

一方で、不動産取引のプロではない売主と直接取引することになるため、「もしかしたら、個人間売買ということを盾に、不利な契約やとんでもない取引になるかもしれない…」という不安があります。

不動産会社は、国交省や各都道府県から免許の交付を受け、宅地建物取引業法をはじめとして、さまざまな法律に縛られて活動しています。下手なことをすれば行政指導や免許剥奪もあります。

しかし、個人対個人の取引ではそういった範疇の外で取引をすることになります。対等な立場での取引であり、法的な保護も手厚くありません。トラブルとなった場合にも、お互い自己責任ということになります。

そうすると、契約する段階になって買主側から「やっぱり契約はしたくない」と言われることも少なからずあるようです。売主側としては無駄骨となるリスクがあるのです。

付け加えると、買主からすれば「契約後に売主と連絡が取れなくなったらどうしよう…」という不安もあります。仲介業者が不在というのはそういったデメリットもあるのですね。

【欠点4】内覧対応・書類作成・登記手続きなど手間や時間がかなりかかる

買主が限定される理由以外にも、実際に自分だけで取引をしようとするとかなり煩雑で手間や時間が取られてしまいます。

例えば、物件の問い合わせ対応や内覧の調整、買主との条件交渉(価格や瑕疵担保責任の負担など)、役所調査、契約書や重要事項説明書の作成…などなどです。

契約後にも、決済の手続きや登記、固定資産税などの税金の費用精算もあります。インスペクション(建築士による建物調査)や瑕疵保険の付保を行う場合にも自分で手配しなければなりません。

不動産取引はそうそう頻繁にするものでもなく、不動産会社の業務について深く考える機会もあまりないのではないでしょうか。個人間売買をやろうと経験して初めて分かることも多いものです。

契約が終わってからも、物件に欠陥が見つかれば補償に関する話し合いも必要です。事前のすり合わせや約束が不十分であれば揉める可能性があります。

契約を終えるまでも一苦労、その後にトラブルが発生するリスクもあり、これを個人でやろうとするとやはりかなり手間がかかってしまいます。

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【欠点5】時間を失う。仲介手数料には広告費や書類作成費も含まれている

個人間売買のデメリットをみてきましたが、最後に最大のメリットである「仲介手数料がかからない」ことについて今一度振り返ってみましょう。

仲介手数料には、広告費や内覧対応、役所調査、契約書などの書類作成費などがすべて含まれています。

もちろん、自分自身でやる場合にはこれらのコストがかかりませんが、それを売主自身でやる場合にはかなりの時間を失い、効率が悪くなります。

たしかに「仲介手数料」というと、ムダ金のような気がしますし、実際にそれだけの価値を感じない場合には売主様ご自身でやられるのも一つの手ではあります。

ただ、仲介手数料の中身全てが不動産屋さんの利益ではなく、これらの必要経費も含まれています。

それならば「時間や手間暇を買う」という考えで、不動産取引のプロである仲介業者に業務を切り離すということも考えてみてもいいかもしれませんね。

不動産会社と協力して高く売る方が得策?親族間などでは個人間売買も有効

個人間売買には買主が限定されることや、手間暇がかなりかかる可能性があることがわかりました。

また、値下げ交渉などもすべて自分でやります。(優秀な)仲介業者が間に入ることで、価格防衛できていたケースでも、(ただでさえ少ない)買主からの条件を呑んでしまう可能性もあります。

仲介手数料をかけてでも、信頼できる不動産会社を探して、不動産会社と協力して物件を高く売る方法を考え、手数料をかけた分以上のよい結果を引き出すことが望ましいかもしれませんね。

仲介業者はなにも買主を見つけるだけではありません。不動産取引のトラブルを避けることにも繋がります。

そういう意味では、知人や友人、親族など買主を自分で見つけられる状況で、売主・買主間が良好な関係を築けているケースでは、個人間売買も選択肢の一つといえるでしょう。

個人間売買を直ちに否定するわけではありませんが、見えにくいデメリットも意識しながら判断してみてくださいね。

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