家を高く売るならリフォームした方がいい?リノベ物件が失敗する3つの理由

なぜ、リフォーム費用分を上乗せして売り出してもうまくいかないのか?

自宅を売却しようとする時、「この生活感あふれる家のまま、売り出しても買主が見つかるのだろうか」という不安があるかもしれません。

中古住宅の中には、リフォーム・リノベーションを実施済みのいわゆる「リノベ物件」として売り出している物件もあり、目を引きますね。

自宅を売る時にも、そんな魅力的な家にすれば買主も早く見つかるかも…と思われるのは自然なことでしょう。一般的なメリット・デメリットは以下の通りです。

売却前にリフォームするメリット デメリット
  • 室内が綺麗になり買主の印象がよく、早期売却に繋がる
  • 買主は購入後のリフォーム費用を考えなくてよい
  • リフォーム費用を回収できるか(価格に上乗せして売れるか)分からない
  • 自分でリノベーションしたい買主から敬遠される

しかし、当たり前ですがリフォーム・リノベーションにはお金がかかります。修繕内容にもよりますが、キッチンや浴槽などの設備交換を含めれば百万円単位でかかります。

「かかった費用分は価格を上乗せして売り出せばいい」という声もありますが、果たして本当にそんなにうまく売れるのでしょうか。

結論から言えば、個人の売主がリノベ物件として売り出すのはリスクが高いといえます。ここではその理由をみていきましょう。

業者のリノベ物件は75%が成功。でも個人は82%が失敗している現実…

客観的なデータからみていきましょう。

国土交通省の調べによると、売却前にリフォームした物件の内、リフォーム費用を上乗せして売却できた(価値が向上できた)物件の割合は「個人は約18%・業者は約75%」となっています。

売主 リフォーム費用 成功率
個人 246万円 17.6%
宅建業者 292万円 74.8%

【出典】中古住宅・リフォームトータルプラン(国交省)を基にPlanB作成

これは、既存流通活性化事業(2010年度)における事業者へのアンケート結果(調査対象:売買前リフォームを実施した876件)でありやや古いデータではありますが、個人でリフォームする場合の成功率が極めて低いことを示唆しています。

一方で、売主が宅建業者、つまり、個人から中古物件を買い取って再販する不動産会社の場合、リノベーション費用を価格に利益を上乗せして売却することに約75%も成功しているのです。

なぜ、リフォーム費用も大きく変わらないのにここまで差が出てくるのでしょうか。

【理由1】再販業者はかなり安く(原価で)リノベーションできる

最も大きな理由は、同じお金をかけてリフォーム・リノベーションしても、業者の場合にはかなり安く工事できるからです。

基本的に、中古物件を買い取って、リノベ物件に仕上げて再販する業者は、多くの物件を仕入れて日常的にリフォーム工事を行っています。

キッチンやトイレなどの設備も大量に仕入れることで仕入れコストを大幅削減できます。また、自社施工の場合には原価で工事できるため、個人がリフォーム業者に依頼する場合よりも3~4割も安く実施できます。

自社施工でない場合でも、お抱えのリフォーム業者に発注します。買取再販業者は、リノベ物件の販売を専門的に行っているため発注件数もかなり多く、その分、安く請け負ってくれます。

そもそも、(リノベ前の)中古住宅を仕入れる際も、相場よりも安く買いたたいて仕入れています。安く仕入れた物件に、コストパフォーマンスのよいリノベを施しているのですね。

このように、業者はスケールメリットを生かしたリノベーションを行うことで、同じコストをかけたリノベーションでも、個人と業者ではまったくその質が違ってくるのです。

【参考】リノベ物件の多くは業者が売主。個人の85%はリフォームせず売却

なんとなく、リフォームをして売った方が高く売れやすいイメージがありますね。それに、リノベ物件は確かに身の回りにたくさんあります。

でも、実はリノベ物件として売り出されている不動産のほとんどは不動産会社(転売業者)が売主になっているのです。

業者は数多くの物件を仕入れ、リノベーションして再販しているため、周りにたくさんのリノベ物件がありますが、個人が売主であるケースはごくわずかです。

個人が売主の中古住宅の場合、85%以上がリフォームをせず売却しているという調査もあります(国交省)。

【理由2】自分でリノベしたい買主から避けられる。安く売り出す方が喜ぶ

「リノベ物件で綺麗な状態にしたら買主が喜ぶだろう」と思うのはもしかしたら一方的な想いかもしれません。

というのも、マイホームを購入する買主は「自分好みにリノベーションしたい」と考える層も多いのです。最近では中古を買ってリノベするという買い方をサポートする業者も増えています。

さらに、中古物件の購入を考える買主はそもそも新築並みの内装を期待していない傾向にあります。それよりも安く買いたいと思っている場合が多く、買主の気持ちを考えず“勝手に”リノベするのはリスクがあります。

例えばキッチンを豪快にして売値を高くしようと思っていても、キッチンにこだわらない人にとっては「無駄なお金を払いたくない」と敬遠されてしまいます。特に大がかりなリノベーションは買主を限定してしまう結果になるのです。

尚、国交省の調査によれば、中古住宅を購入してリフォームする場合、キッチン、洗面所、浴室、トイレといった水回りが多いこともわかっています。

水まわりの設備は毎日使うもので、買主としては「自分で決めたい」と思う気持ちはよくわかります。売主の一方的なリフォームによって「好みと違う…」となればもったいないですね。

専門業者は、多くの買主が望む魅力的なリノベ方法を知っている

一方で、業者が行うリノベ物件はなぜうまくいくのでしょうか。

それは、【理由1】でも述べた通り、コストパフォーマンスの高いリノベを行うため、買主も価格メリットを感じるためです。

また、リノベ物件の専門業者は、より多くの買主が望むリフォームの仕方を調査し、万人受けする物件に仕上げる方法を知っています。

なにも全ての物件で同じようにリノベーションするわけではなく、物件によってフルリノベーションするものもあれば、クリーニング+修繕程度に終わらせるなど、物件によって柔軟に対応します。

プロの業者は価格メリットに加えて、その内容にもノウハウがあり、利益を乗せてもしっかり販売できるのです。

【理由3】中古物件は立地や耐震性が重視。好立地ならそのままでも売れる

不動産の資産価値は、「立地がほぼすべて」といわれるくらい、立地が大事です。

また、日本は地震大国でもあり、耐震性が最新基準を見ていしているか(マンションなら1981年6月以降に建築確認を受けた「新耐震」、木造住宅なら2000年6月以降の「2000年基準」)も重要です。

逆に、内装はリフォームによっていくらでも変更がききます。見た目は変えられますが、立地は変えられません。

買主の心理としては、まず、駅から近いか・職場が近いか・学区はいいか、など立地を重視することが多いのです。

もし、自宅が好立地にある場合には、なにもリフォーム・リノベーションをしなくても、それだけで価値がある住宅として売り出せます。

リフォームする必要のないものまでやってしまえば、立地を優先する買主は「立地はいいけど、価格が高すぎるなあ…。内装はそこそこでいいから同じエリアの安い物件を探そう」となってしまう可能性があります。

室内クリーニング+補修に留めるのが、売主・買主にとってメリットあり

自宅を売ろうとした時、個人でリフォームをしても、多くの場合にリフォーム費用を回収することは期待できません。

買主の立場としても、内装にこだわる人・こだわらない人の両方がいます。両者に対応できるよう、リフォームはせずにその分価格を下げた方が買い手が付きやすいといえます。

内装を重視しない人は、リフォーム費用分安く買えて嬉しいですし、重視する人は買った後に自分でリノベーションしたいという希望が叶います。

それならば、水廻りなどをまずは自分で清掃するくらいで十分です。室内が全体的に汚れていて「ぱっと見で買主が帰ってしまう…」という場合には、専門のクリーニング業者に依頼するのもよいでしょう。

もちろん、設備が故障していたり、ドアがガタガタになっている場合などは、小規模な修繕(補修)を施すのもよいでしょう。

いずれにせよ、リフォームをして費用を上乗せし売却金額を上げることを考えるより、今の現状のまま売り出すことが、売主としても費用負担がなくリスクも小さいですね。

汚い部屋けどお金を出したくない…なら「リフォーム代〇〇万円売主負担!」

中には、さすがにリノベーションした方がいいというボロボロの物件もあります。でも、先にお金が出ていくのは避けたい…という状況もあります。

そういう場合には、「買った後にリフォームする代金を売主が〇〇万円まで負担します!」という売り出し方も効果的です。または、売出価格からリフォーム代金分を下げて、相場より安く売り出します。

買主としては、自分好みにリフォームでき、また費用の大部分を負担してくれることは魅力的です。

さらに、内覧時には家の内部が汚くても、後で綺麗にできるという印象を与えれ、ぱっと見の印象ではなく家の間取りや構造に意識を向けてくれることも期待できます。

売主としては、手元にお金がなくても、実質的な(?)リノベ物件として売り出すことが可能となります。

いずれにせよ、中古物件は買主も新築並みの綺麗さを求めていません。「綺麗に使ってきたんだな」という印象を与えるだけで買主は安心するものです。効果的に売却してくださいね。

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