査定価格は家が売れる値段ではない!不動産屋はどう計算してる?

なんで不動産会社によって査定価格が違うの?どうやって計算してるの?

家を売ろうと思ったら、まず気になるのが「いくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。

不動産屋さんに査定を依頼すれば「査定価格」を出してもらえます。

でも、3社に頼めば3つの査定価格が出てきてしまいます。中には同じような価格帯になることもありますが、やはりぴったり一致することはまずありません。

ではどうしてこれほど査定価格にズレが生じるのでしょうか?不動産屋さんは何を考えてどう計算しているのでしょうか。ここでしっかり理解しておきましょう。

査定価格は不動産屋が「この値段なら3カ月以内に売れる」と思う参考価格

査定価格とは、大雑把にいえば「この金額だったら、3カ月以内に売れると思う」と不動産屋が考える物件価格のことです。

まず、大切なことは査定に出した不動産会社が買い取るわけではないということです。

貴金属やブランド品などを買い取る会社が「査定」する場合には、「自社なら査定価格で買い取ります」という取引を前提とした意思表示です。だからこそ、査定価格はシビアなものになります。

しかし、不動産売却における「売却査定」は「この査定価格で売り出せば、きっと買主が現れると思います(自社が買い取るわけではありませんけど…)」という単なる意見に過ぎません。

その金額で売れるかどうか分かりませんし、その査定価格が間違っていたとしても不動産屋さんはなにも損しません。

不動産のいう査定価格は、単なる参考価格ということですね。

【注意】高い査定価格を提示して、売却依頼を取る業者もいる

不動産売却における査定金額は、不動産屋さんの参考意見のようなものです。

もし、とんでもなく高い金額を提示したとしても自社が買い取るわけではありませんので、痛くもかゆくもありません。

ですので、中には本来の相場が3,000万円の物件でも「いや~素晴らしい物件ですね。うちなら4,000万円で売れますよ!」と、根拠もなく高い金額を提示してくることがあります。

不動産会社としては、売却依頼を売主からゲットすることに必死です。なので、ライバル会社よりも明らかに高い査定価格を出してくることがあります。要注意ですね。

一方で、その不動産屋さんが特別に得意とするエリアだったり、販売ノウハウに長けている場合には、高い価格であっても妥当なケースはあります。

金額だけで判断せず、しっかりと査定価格の根拠を聞くように注意しましょう。

「媒介契約が切れる…」3カ月以内に売り切りたい不動産屋の事情とは?

なぜ“3カ月以内の売却想定価格”かというと、売主が不動産屋に売却を依頼する契約(媒介契約)は3カ月で一旦解約されてしまうからです。

媒介契約にも「専属専任」「専任」「一般」の3種類がありますが、(専属)専任媒介契約は3カ月以内にしなければならないことが法律で定められています。

一般媒介契約の場合には無制限にできますが、国としては3カ月以内にするように指導しています。

具体的には、国土交通省が定める「標準媒介契約約款」の中で3カ月以内とされており、「3カ月以内と時間を区切って、しっかりと売却活動をしなさい」と勧めているのですね。

もちろん、3カ月経過後に媒介契約をあらためて結び直すことはできます。ただ、売主としては「3カ月経っても結果が出なかった。他の不動産会社に任せよう」となりやすいことは言うまでもありません。

不動産会社としては3カ月が勝負なのです。だからこそ、「3カ月で売れる」と思う金額を提案してくるのです。

査定価格の計算方法。不動産にたった一つの正しい価格は存在しない?

それでは肝心の査定価格をどのように計算しているのでしょうか。

不動産は「一物四価」(1つの物件に4つの価格がある)ともいわれるほど、値付けが難しいものです。一つとして同じ物件はなく、たとえ同じマンションであっても階数によっても角部屋かどうかによっても価格が違ってきます。

不動産の売却査定でよく使われる計算手法としては、類似物件の成約事例や売出価格と比較して価格を決める「取引事例比較法」があります。

周辺で3,000万円で売り出されているから(過去に成約したから)、それと比較して、自宅は土地がちょっと小さいから2,800万円かな、という感じです。

また、原価法(積算法)というのもあり、建物の築年数が〇年だから建物価格は800万円、土地の価格は公示地価を参考にして2,000万円、合計2,800万円といった具合です。

さらに、人に貸し出した時の家賃(賃料)から逆算して価格を出す「収益還元法」という手法もあります。不動産投資の世界でもよく使われる方法です。

この価格が正しい!というのはない。買主・売主の事情や利用目的でも変わる

いくつも不動産価格があってややこしいですね。結局どの価格が正しいの?と頭が混乱しそうになりますが、結論を言えば「正しい価格」というのはありません。

例えば、買主が一般個人で居住目的で買う場合には高い値段がつくケースが多いものです。買って住むことが目的だからです。

一方で、買主が建築業者などの法人(企業)の場合には、古屋を立て壊して更地にしてその上に建物を建築して営業(または販売)するという風に事業目的で買う場合があります。

そのケースでは、利益を追求するため、買い叩いて安く仕入れたがります。古い家を立て壊す費用分、値下げを要求してくることもあります。

さらには、売主が「すぐに家をお金に換えたい」と思う場合には、安く売り出すことになります。早く買ってもらうために値段を下げるのです。

このように、査定価格と実際の売出価格、そして買主との交渉を経て実際に合意した成約価格も異なります。理論的な査定価格と実際にいくらで売れるかは様々な事情で大きく変わるものなのです。

自動計算なの?実は同じようなソフトを使って査定書を作っている

不動産屋さんに査定依頼をすると、立派な「査定書」がすぐに送られてきます。

中身を見てみると、「取引事例比較法で〇〇万円、積算法で□□万円、だから間を取って△△万円くらいが査定価格です」といった感じで書かれていることが多いものです。

こんな複雑なことをすぐ計算できるなんて、さすが不動産のプロ!と思ってしまいそうになりますが実はそうではありません。。

実はこの査定書、多くの不動産会社は「価格査定マニュアル」や「査定番頭」など、同じようなソフトを使って自動で作っています。

もちろん、自社で独自に査定書を作っているところもありますが、その場合でも社内のマニュアルに沿って、(不動産の知識がなくても)機械的に数字を当てはめていくことで査定書ができあがります。

決して自動作成ソフトが悪いというわけではありません。不動産という値付けが難しい商品だからこそ、ある程度決まり切った計算手法にどの会社も頼ることになってしまうのです。

同じソフトを使っても、補正項目で差が出る。客観的な査定価格はない?

では、同じようなソフトを使っているのであればまったく同じ査定価格になるかといえばそうではありません。

大雑把には同じですが、補正項目の調整によって価格がズレていくためです。例えば、補正項目の例としては次のようなものがあります。

これら一つ一つに、点数を付け、よい場合は▲3%や+5%などと主観的に査定価格を上げ下げします。

補正項目 具体例
接道 道路付け(角地など)、道路幅員、間口、私道の有無、セットバックの有無
土地の規模・形状 方位、規模、形状、高低差
環境 災害耐性、騒音・振動、隣接地の利用状況、嫌悪施設の有無、公園・自然環境、商業・医療・教育施設などの有無
立地(利便性) 最寄駅からの距離、最寄駅の規模(ターミナル駅など)、バスなどその他交通機関の利便性
制約 権利(所有権・借地)、用途地域、法令による制限、建ぺい率・容積率
建物 維持管理の状態、耐震性など住宅性能、建物設計の特徴、築後経過年数(築年数)、付加価値ある設備の有無、日照・通風

ただ、この評点のつけ方に客観的な根拠は乏しく、また、「過去にこのエリアは苦戦したな」「このエリアは熱かったな」という経験を基に最終的な査定金額を上げ下げすることもあります。

日本では木造住宅は20年程度経過すると建物価格をゼロ円と評価する慣習が残っていますが、リフォームをした分、バリューアップして評価する計算を取り入れいれているものもあります。

そもそも一物四価ともいわれる不動産、不動産価格に唯一無二の正しい価格というのも存在しません。曖昧な部分がどうしても残っているのです。

価格を決めるのは売主!査定書は「売出価格」を決めるための参考情報

不動産価格にたった一つの正しい価格もなく、結局のところ、実際に売り出してみないといくらで売れるのかは分かりません。

査定価格は「この金額で売れるんだ!」と受け止めるのではなく、「いくらで売り出そうかな」ということを決めるために参考とする価格と割り切るくらいがちょうどいいといえます。

査定書を参考情報としてみてみると、確かにそのエリアの公示地価の推移や周辺の売出情報、過去の成約情報などが記載されていることが多く、使い勝手がいいものです。

査定書を基に、いくらで売り出すかを考えるのが正しい使い方といえます。

例えば、査定価格が3,500万円であれば「買主からの値下げ交渉(指値)が入ることを見越して売出価格を3,580万円にしよう」などと検討してみるのです。

実際にいくらで売り出すかを決めるのは(不動産会社ではなく)あくまで売主です。その売り出し価格を決めるための、参考情報として査定書を使いましょう。

査定価格に惑わされず、「なぜその査定価格なのか?」と理由を聞く

査定価格は、取引事例比較法や積算法、収益還元法などの「理論値」に、周辺の売出状況や補正など「主観的要素」を加えて作られます。

全てが合理的に正しく作られるわけではありません。

ですので鵜呑みにせず、査定書を作ってくれた不動産屋さんに「なぜこの査定価格になるのか?」の理由を具体的に根掘り葉掘り聞いてみましょう。

「この前これくらいで売れたから」「中古だからこれくらいですよ」などと漠然とした回答だけの場合は要注意です。

不動産は一点ものです。不動産マーケット(需要と供給のバランス)は常に動いています。金利水準によっても、価格は動きます。

さまざまな視点で検討しているかどうかを見極め、納得できるまで遠慮なく聞いてみましょう。

査定価格のまとめ

査定価格は、不動産会社が「3カ月以内に売れると思う」金額であり、その算出方法の中にも主観的な部分も多く含まれることが分かりました。

不動産の価格に、たった一つの正しい金額はありません。楽観的(悲観的)に考えている不動産業者であれば、価格を高く(低く)補正することもあるでしょう。

気を付けたいのは、査定価格を見て「この価格で売れるんだ!」と考えるのではなく、「いくらで売り出すか?」を考えるための参考情報として使うことです。

価格を最終的に決めるのは売主です。査定書の内容に疑問があれば、納得するまで理由をしっかり聞いてみましょう。

売却の依頼を取りたい(媒介契約を結びたい)から高く査定してくる不動産屋には決して惑わされないようにしてくださいね。

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